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日本語を味わう名詩入門 ⑲谷川俊太郎 感想

詩って難しくない?私はずっと難解だなーと思ってる。
小説みたいにストーリーがあるわけじゃないから、意味が読み取れないことが多い。

でも昔から谷川俊太郎さんは結構好きだなと思っていた。
教科書に載ってることも多いし、わかりやすいのにふと印象に残るフレーズがあったりして。

 

図書館の児童書コーナーで見つけた。
http://www.asunaroshobo.co.jp/home/search/info.php?isbn=9784751526590
日本語を味わう名詩入門 ⑲谷川俊太郎

 

収録されてるのは23編で、それぞれに解説がついてる。
ちょっと開いてみたら最初の方は知ってる作品だった。
2つ目の「かなしみ」は元々めちゃくちゃ好きなやつ。
ぼんやりとした喪失の話のあと、急に出てくる「透明な過去の駅」の「遺失物係」で胸が絞められる。
やっぱり谷川さんの詩が好きだと感じたから、1冊詩集を借りようと思った。
これも気になるけど、一般コーナーの詩集も見に行ってみた。
いくつかパラパラ見てみたけど、やっぱり大人用って載ってる量も多いし解説もないし、読んでてもピンと来なかったりする。
もちろん一般詩集はそれはそれで何かのテーマに基づいて編集されているはずだから、それの良さがあるのもわかるんだけど。(『名詩入門』は抜粋収録だし)

結局、最初に見かけたこの児童書を借りた。それがめちゃくちゃ良かったという日記。

 

まず自分で読みながら意味を考えて、わからなかったら読み返したりする。そのあとで解説を読む、という読み方をした。

詩ってただ読むだけじゃ漫然としちゃうんだけど、解説のおかげで自分では気づけなかった視点や補完知識を教えてもらえて理解しやすい。
ただ、詩の受け取り方ってやっぱり人それぞれでは?解説されることで自分の解釈が狭まってしまっているのでは?という懸念もあった。
だけど、狭められることより広げてもらうことの方が多かったな。
「生きる」、何度も読んだことのある好きな作品だけど、解説もとても良かった。
ずっと「こと」で終わる中、最後から2番目に不自然に入る「あなたの手のぬくみ」は第一連に返ってたのね。なるほどね…。

 

あと「あくび」の解説。
四十のぼくと十のきみ。この2人が七十と四十になったときも青空の下であくびができるといいなという詩。
どういう関係かは想像の自由だけど私は親子だと思った。
読んでいて「そうだな、未来もそんな風にすごせていればいいな」と漠然と考えただけだったんだけど。
解説に
「あくびができるような空の青さとは実際に澄んだ空のことかもしれないし若者も老人ものんきにあくびができるような平和な日々の象徴なのかもしれない」
という感じのことが書かれていてすごく胸にささった。
一人では平和のことまでは想像できなかった。
今の時勢のせいもあり、40年後がのんきでいられる世界かどうかってすごく不安で、そうなっていてほしいと本気で願って泣いた。
初めて読んだ作品の中では私はこれと「これが私の優しさです」がめちゃくちゃ好きだった。

 

逆に、気になった表現が解説には一切触れられてないということもあった。
解説もすべてのフレーズを説明しているわけではないから当然なんだけど。
ただ、私と解説者で大事だと思った箇所が違ったんだなーと思う。
解説が無い分自分でこの意味を考えたいし、この本の読み方として単に解説を受容するだけじゃなく考えながら読めてて良いじゃんと思った。
「これが私の優しさです」も最後の箇所に何も触れられてなくてマジ!?と思ったので1人で噛み締めようと思う。

 

この本はシリーズがたくさん出てるから他のも読んでみたくなった。宮沢賢治とかいいかもしれない。

谷川俊太郎は現代詩だからまだいいんだけど、もっと前の時代の人の作品になるとなおさら解説がありがたくなるなぁ。

 

話変わるけど、児童書とか子供向けの本ってかなり面白い。
未知の知識って無限にあるから児童向けのわかりやすい本楽しい。
絵本も好きだし図書館の児童書コーナーずっといられる。(一般の棚も行くけど)
他に最近気に入ってるのはこれ。
いきものづくし ものづくし
https://www.fukuinkan.co.jp/ikimonodukushi-monodukushi/

 

全12巻だけど1冊ずつは薄い。薄くて手軽な百科事典と言う感じ。大人も知らないことがたくさん載ってる。
めちゃくちゃでかい。
デカいのがメリット(迫力がある、見やすい)かつデメリット(持ち運ぶのも保管するのも邪魔)である
内容がとても良い。

 

各巻ジャンルがバラバラのテーマが7つあって、見開き1ページに収まってる。
絵を眺めるだけで楽しい。知らないことがわかって面白い。
さらに付録に解説本がついてるから、もうちょっと詳しく知りたいときはこれで補足もできる。
たとえば虫に興味がわいたとして、その巻には他に虫のページは無いんだけど別の巻にはあるからそっちが読みたくなったりする。
興味のとっかかりができやすいうえに、深堀りしたくなったときの動線まで引いてくれてる。もっと知りたくなったら専門の本探せばいいし。

 

去年ド田舎に引っ越したけど、前住んでたところより図書館は行きやすくなって嬉しい。図書館にいると生きてるって感じる。